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トランス・ヒマラヤ密教叢書

『神智学大要』第一巻エーテル体
   

アーサー・E・パウエル編著/仲里誠桔訳
ISBN4-915497-53-4 C0014   
四六並製 初版/2000年8月
2700円+税
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「人間を知ることは神を知ることである。神を知ることは人間を知ることである。」(アニー・ベサント)。
H・P・ブラヴァツキー『シークレット・ドクトリン』を基に、神智学の精髄を解説し、その理論を体系的にまとめ上げた、神智学研究の記念碑的名著の全訳。旧版(たま出版)に全面的に改訂・改訳を施した決定新版。世界中でロングセラーを続ける不朽の書。


【目次】
第一章 あらすじ
第二章 プラーナ(活力)
第三章 力の中枢【チャクラ】
第四章 脾臓中枢
第五章 脊髄基底中枢
第六章 臍中枢
第七章 心臓中枢
第八章 咽喉中枢
第九章 眉間中枢
第十章 頭頂中枢
第十一章 プラーナの排出
第十二章 プラーナの循環体系
第十三章 クンダリニー


第十四章 原子の網
第十五章 誕生 
第十六章 死
第十七章 治病
第十八章 メスメリズム(動物磁気)
第十九章 悪念波の防御
第二十章 霊媒
第二十一章 オーラ現象
第二十二章 エーテル体の働き
第二十三章 物体の磁化
第二十四章 エクトプラズム
第二十五章 結び

 

 
第一章 あらすじ

 序章で述べたように、人間は肉体だけでなく、数種の体を具【そな】えており、この各種の体を通じて人間そのもの(真我)が大自然の各層に自分自身を表現してゆくものであることは、実はトランス・ヒマラヤ密教(訳註1)の学徒には周知の事実である。

 物質は七つの度合い、すなわち、濃度に分かれている。それは、

  原子【アトミック】体

  亜原子【サブ・アトミック】体

  超幽【エーテル】体

  幽【エーテル】体

  ガス体

  液体

  固体

 である。普通われわれは肉体だけがすべてだと思っているが、実は肉体の中には以上全部の体(稠密度)の粒子が混入している。しかしこの肉体は明らかに二つの異なった部分より成っている。一つは固体、液体、ガス体より成る稠密な、いわゆる肉体と、もう一つはもっと精妙な、前掲の四種類の体より成る幽体、別名複体(訳註2)である。

 本書はこの幽複体の性質、外見、機能【はたらき】、人体を構成する他の体との関係、プラーナ(活カ)との関係、その誕生、成長、老朽およびある種の治病法、催眠術【メスメリズム】、霊媒と心霊科学でいう物質化現象との関係、幽複体が発現しうる力、その他多数の関連した幽体現象について研究を進めて行こうとするものである。

 結論から先に、簡単にいってしまえば、幽複体は、

 (1)肉体生命にとって必要ではあるが、厳密に言えば意識の独自の媒体ではない。

 (2)太陽から放射されているプラーナ(活力)を受け容れて体内各部に配分するものであり、したがって物質体すなわち肉体の健康とは密接な関係がある。

 (3)独自のチャクラすなわち力の中枢を持ち、各中枢がまた独自の働きをする。

 (4)人間は実は睡眠中には魂が肉体より遊離して、普通はその人の人格に対応する霊界においていろいろな体験(たとえば、すでに霊界で居住している〔地上界の人間からいえば「死んだ」〕親、兄弟姉妹、親類、縁者との面談、特殊の人の場合は修行、霊界見学等)をするものであるが、目覚めてからそれが思い出せるのは、主として幽体の質料の働きによる。

 (5)序章の末尾で触れたように、人はいったん死んでも、幾度となく生まれ変わるものであるが、その時に高我(ego・魂)(訳註3)が纏【まと】うべき肉体の種類を決める上で、重要な役割りを演ずる。

 (6)肉体と同様に時のたつにつれて朽ちて行き、ついには死減して内なる魂を解放して、次の周期の人生航路における階梯に備えしめる。

 (7)特にいわゆる磁力療法(Magnetic healing)あるいは活力【プラーナ】療法(Vital healing)と関係があり、治病(もちろんその範囲は限られている)や麻酔あるいはまた恍惚状態などのためになされる催眠術【メスメリズム】とも関係がある。

 (8)交霊会における種々の心霊現象、たとえば物体の移動、叩音【ラップ】、その他の音の発生やあらゆる種類の物質化現象の主な原因である。

 (9)幽体に潜在しているもろもろの能力が発達すると、常人の経験しえない新しい力が発現し、多くの幽体現象を発現させる。

 (10)その質料を利用して、ちょうど生物を催眠術にかけうるように、物体を磁化することができる。

 (11)いわゆるエクトプラズムを形成する素材を提供する。

 この幽体には、これまでいろいろな名前がつけられてきたもので、たとえば、神智学の初期の文献では霊体【アストラル】、霊人あるいはサンスクリットをそのまま用いてリンガ・シャリーラ(Linga Sharira)といったものである。しかし後の文献では、これらの用語は用いられなくなった。というのは、これらの用語は実は、霊質科より成る体、すなわちヒンドゥ教徒のいういわゆるKama(欲望)体にこそあてはまるからである。したがってこの道を学ぶ者は、『密教』(訳註4)やその他の古い文献を読む場合、今日では幽体【エーテル】(複体(訳註2)ともいうことは既述の通り)、霊体【アストラル】という術語で使い分けている、全く相異なる体を同一視しないように注意する必要がある。

 この幽複体に対する正確なサンスクリットはプラーナマーヤコシヤ、すなわちプラーナ(活力)の容器であり、ドイツ語のドッペルゲンガー(Doppelganger=複体)に相当する。死が訪れ、幽体が肉体より完全に分離すると、英語ではそれをレイス(wraith)とかファントム(fantom)とか、アパリシャン(apparition)とか〔いずれも亡霊の意〕、あるいはチャーチヤード・ゴウスト〔教会墓地の幽霊〕などといわれる。ラージャ・ヨガではこの幽複体と肉体とを一緒にしてストウー口・バードヒイ(Sthulo padhi)つまりアートマー(Atma)〔人間を構成する七つの存在の中の究極のもの。普遍的大霊〕の一番下級のウパードヒー(Upadhi=器【うつわ】)という。

 物質(肉体)体を構成している固体・液体・ガス体の各粒子はエーテルの外被で囲まれているのであって、しかもこの外被は徴細な点に至るまで肉体と完全に一致している。つまり肉体の完全な複写である。これが幽複体とも称される理由である。

 この幽複体は肉体よりもやや大きく、皮膚から約四分の一インチはみ出ている。しかし普通「健康オーラ」といわれている幽光【エセリック・オーラ】は普通皮膚より数インチ突き出ているのであるが、このことについては後に述べることにする。

 幽複体と肉体との特質のうち、特に注目しなければならないのは、両者が一緒に変化する事実である。したがって、たとえば自分の肉体を浄化してゆけば、幽複体も同時に、かつ自動的に浄化される。

 幽複体は濃度を異にするあらゆる幽質料が多かれ少なかれ集まって構成されるが、その割合には非常な差があり、その差の程度は人種、亜人種〔人種の枝〕および、個人のタイブ、個人の過去よりのカルマといった要因によって決まる。

 濃度を異にする既述の幽質料の特性について、今までのところわかっているのは、次の通りである。

 (1)幽体−通常の電気や音の媒体

 (2)超幽体−光の媒体

 (3)亜原子体−電気の中でも特に精妙な電気の媒体

 (4)原子体−生物の脳から脳へ思念を伝達する媒体

 一九二二年の『神智学』誌五月号でF・T・パイヤース氏は次の通り分類しているが、恐らくは正しいものとわれる。

    秘教化学       物理学      実例

  E1 原子体        電子的      原子   

  E2 亜原子体       陽核     アルファ粒子

  E3 超幽【エーテル】体  中性核   中性子

  E4 幽【エーテル】体   原子的   初期窒素

                   原子水素

    ガス体       分子状ガス等   H2、N2、ガス状化合物

 幽複体は外見上薄い紫灰色、あるいは青灰色を呈して徴光を放ち、その構成は肉体のそれに比例して、あるいは粗雑あるいは精妙である。

 幽複体の働きには二つあって、まず第一にはプラーナすなわち活力を吸収して、肉体に配布する。このことについてはいずれ詳しく見てゆくことにする。

 第二には、稠密な肉体と精妙な霊体【アストラル】との間の仲介ないし橋渡しの役割で、肉体の五官の接触によって生じた意識を、幽体の脳を経て霊体【アストラル】に伝え、霊体およびそれ以上の高い界層の意識をこんどは肉体脳と神経系統とに伝える。

 さらにまた幽複体の中にある、ある中枢【チャクラ】〔複数〕が発達すると、その人は幽界【エセリック】の存在と幽界のもろもろの奇現象を認知しうるようになる。これらの超常力については、いずれ後述する。

 ここで大事なことは、幽複体はもともと肉体の単なる一部でしかない以上、普通は、意識の独自の器としての働きをすることはできない、ということである。ただその各部に所属する散漫な意識があるだけで、独自の精神作用があるわけでもなく、また肉体から切り離された際、ただちに精神作用の媒体となるわけでもない。それは精神作用から出てくる意識の器ではなく、プラーナ(活力)の容器なのであるから、幽体自身の働きによって、宇宙に満ちている生命の流れが、分布されている肉体から幽複体が離脱すると、肉体に混乱が生じ、肉体は不健康となる。しかし普通の健康人の場合は、幽複体が体から離脱することは難しく、したがって幽複体が肉体より離れて勝手に動き廻ることは不可能である。

 いわゆる物理現象、すなわち物質化現象をひきおこす霊媒の場合、幽複体は比較的離脱しやすく、その際彼の幽複体の幽質料〔物質に対応〕が物質化現象の材料となる。このことも詳しくは後章で述べることにする。ただし、普通の人であっても、事故或いは死やエーテル、ガス、催眠術などによって、肉体から引き離すことができる。死亡すれば当然肉体から離れる。幽複体は脳と、肉体以上の高次元の意識とを繋ぐものであるから、麻酔によって無理に肉体から追い出すと、当然麻痺状態となる。しかもこうして追い出された幽質料は普通アストラル体にまつわり、アストラル体をくるんでしまうので、アストラル体の意識まで鈍らせてしまう、麻酔から目が覚めても、アストラル体の中で過ごした時間〔睡眠または麻酔中は意識は肉体よりアストラル体の中に移る〕についての記憶が脳に残らないのはそのためである。幽質料を催眠術によって肉体より引き出す方法とその結果とについては、別に一章を設けて詳述したい。

 健康が衰えたり、神経が興奮している場合は、幽質料が多量に肉体から排出されることもあり、その際には排出された量の多少によって、肉体の意識がひどく鈍ったり、あるいは恍惚状態となったりする。いずれにしても、幽複体が肉体より分離すると、肉体の活力はかなり減じ、反対に幽複体の活力は増大する。

 H・S・オルコット大佐〔神智学協会の初代会長。アメリカ人〕は、その著書『死後の人間』の中でこういっている。「幽複体が熟練者によって肉体から引き離されると、肉体は無感覚となり、精神はボーッとなったりあるいは目のくらんだ状態になったり、目は生気を失い、心臓と肺の動きは弱まり、体温が著しく低下することも少なくない。そういう状態の場合に突然音を出したり、イキナリ音を立てながら部屋に入ったりすると、幽複体は反動的にかつ瞬間的に肉体に戻るために心臓が痙攣【けいれん】をおこし、死を来たす場合さえあるので、きわめて危険である。」。

 幽複【エーテル】体と肉体とはこのように密接に繋がっているので、幽複体になんらかの障害がおこると肉体にも同じ障害が現われる。これがいわゆる跳ね返り現象の一例で、アストラル体と肉体との間にもまたこれと同じ現象を来たす場合がある。もっともこの「跳ね返り」現象は、完全な物質化現象の場合にだけ起こるようで、それも姿・形が目に見え、手に触れうる場合であって、(1)手には触れられるが目には見えない場合、(2)見えはするが手には触れられない場合には起こらない。ただしそれも、物質化した形体に幽複体の質料が用いられた場合にだけしかあてはまらない。物質化の材料が周囲のエーテル(あるいは周囲の物質たとえばカーテンなどの幽複体)から取られた場合には、物質化した姿・形に何らかの傷をあたえても別に肉体への跳ね返りはない。それはちょうど大理石像に傷をつけたからといって、それがモデルとなった人間自身の傷にはならないのと同じようなものである。

 なお、幽質料は一般的には目に見えないが、それでも純粋に物質的存在であり、したがって寒冷や暑熱や強い酸の影響を受けることを心にとめておく必要がある。

 手や足の切断手術を受けた人が、時として手の部分や足の部分に傷みを訴える場合があるが、それは、肉体の手足は切断されても、幽複体の手足は切断されていないし、また、切断されうるものでもないためであって、幽複体としての手足が依然として元通り存在しているのが霊能者には見えるものである。そのためにこの幽複体の手足に何らかの刺激が加わると、感覚が呼び起こされてそれが意識に伝わるのである。

 幽複体については、その肉体からのはみ出し、放射など多くの関連現象があるが、それはプラーナすなわち活力の性質や働きについて研究した後に取り扱った方がわかり易いので、そうすることにする。

〔訳註〕

(1)ヒマラヤの彼方に純正なる密教体系が管理されている故、かつまた他の自称・他称の傍流である(時には俗化し、あるいは黒魔術化さえした)いわゆる密教と峻別するために、この名称を附された−と解してよい。

(2)細部に至るまで肉体の複写に等しい故にこの名がある。

(3)神智学でいうエゴは心理学でいうエゴとは異なり、むしろ深層心理でいうセルフといわれる意識の中心に近い。神智学のいうエゴは、エゴ自身の一部〔複数〕を周期的に低我(肉体、幽体、アストラル体、メンタル体の複合体)の中に下し、次々と生まれ変わりの体験をへて、美徳を開発してゆく本体のことである。いわゆる魂に相当する。(それは精神の一部であって高次元の直観〔ブッディ〕とかたく結びつき「霊」によって照らされている。序章で触れたように、原因〔コーザル〕体の中に住する。詳細は第四巻において展開)

(4)H・P・ブラヴァッキーの主著『密教【シークレット・ドクトリン】』

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