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ここに「魔法入門」と題して混迷の現代に贈る書物は、現代ヨーロッパ最高の魔法使いの一人、W・E・バトラーの主著、「魔法─その儀式・効力・目的」および「魔法使い─その訓練と仕事」の全訳である。 バトラーは一八九八年生まれのイギリスの人。中世から連綿と続き、ヨーロッパ史に見えない所で深く影響を与えてきた秘密結社「薔薇十字団」の法統を受け継ぐ「黄金の夜明け団」の領袖、ダイアン・フォーチュンからもっとも正統的な魔法を学び、それを今に伝える稀有の魔人である。かれは十七歳の時からオカルトの道に入り、ヨーロッパの内的伝統を継承するとともに、インドに旅してヒンドゥーの秘法を身につけた。そして、本書に展開されるようなヘブライの神秘主義、「カバラ」の教説を中心として独自の魔法体系をうちたてている。一九七八年に没した。 本訳書では前書「魔法」・とし、後書「魔法使い」を・として一書を構成した。・においては魔法の本質、その真の目的などをやさしく解説し、・においては普通の人間が魔法の世界に入るための必須欠くべからざる訓練を詳細に述べている。 本書が類書と異なる点は、魔法を単なる異常現象として興味本位に書きたてた娯楽的読物でも、またその世界を外から観察した人類学的記述でもなく、魔法の本質解明とその修練に一生をかけた熟練の魔法使いが、きわめて具体的にその世界へ入る道を指し示していることであろう。魔法の世界は古くから秘密の闇に閉ざされてきた。本書においても秘密とすべきところは依然として語られていない。しかし語られている部分を十分に理解し、さらに心身ともに体験を積んでいくうちに、語られざる秘密は自ずから明らかになるように工夫されている。訳者自身、試みに書かれたとおりに実習してみて、その構成の巧みに驚いている。初めは難解な部分も焦ることなく味読してゆけば、必ずいつか納得がいくようになる。 なお、巻末には読者の便をはかって、訳者による簡単な用語解説を付した。 |
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