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古今東西の主要な宗教には、一般の人々に伝えられてきた教え”顕教”の他に、許しを得たごく僅かな弟子たちにのみ伝えられた秘密の高度な教え”秘教”あるいは”密教”と呼ばれるものが存在していました。この秘密の教えの内容が公開されなかったのは、未熟な者が誤って用いると、誤用した本人のみでなく人類全体をも滅ぼすことになりかねない”両刃の剣”であったからです。その典型的な例を近年、私たち日本人は経験しましたので、その意味はすぐご理解いただけると思います。 秘教として一般に知られているものに、仏教では”チベット密教”(日本では天台・真言密教)、キリスト教の”バラ十字軍”、ユダヤ教の”カバラ”、イスラム教の”スーフィズム”、道教の”仙道”、などがあります。(さらには、インドの「ヴェーダ」の数え〜ヨーガ等や、ヨーロッパを中心にしたフリーメイソン、グノーシス主義、新プラトン主義、日本の古神道、修験道、世界各地に残る古代の秘教や神話、霊的修行法、占星術、錬金術、数秘術、言霊思想等も、これに属する、あるいは非常に関係が深いと考えてよいでしょう)。 各宗教は、顕教の段階ではかなり教義に隔たりがあり、互いにあまり関係がないように見えますが、秘教においては共通点が非常に多くなり、密接な関係が感じられるようになる、といわれてきました。これはもちろん、一般にはまったく知られてこなかったのですが。 ところが今から約百年ほど前、H・P・ブラヴアツキー夫人により”近代神智学”の運動が興されるとともに、秘教に関する情報公開が一挙に始まったのです。これは”秘敦の顕教化”といえます。そもそも人類が正しく活用できる情報は、隠される必要はないのです。人類が長い歴史の中で成長を遂げたため、それまで秘教であったものの一部が公開され、顕教に移行されたのです。その教えは”トランス・ヒマラヤ密教”とも呼ばれています。 ただしその事実は、それから一世紀以上経つ今日でも、未だに一般にはあまり(特に日本では)知られていません。それはこの数えが峻厳たるヒマラヤの山々の如くに難解で、取りつきにくいようカモフラージュされているからです。人類が総体としては成長したといっても、誰もが安易にこの教えに近づくことは危険であり、”難解さ”等は現在までの移行期において、この高度な情報を安全に普及していくために用意された障壁、とも考えられます。 しかし現在は移行期が終わり、人類はこの情報を完全に使いこなしていかなければならない時期にさしかかっています。さもなければ私たちは錯綜した現代社会の”マトリックス”の中で、自らをそして地球全体を、修復不可能なまでに破壊し尽くしてしまうでしょう。最早一刻の猶予も許されない状況にまできていると、思います。 筆者自身はこれまでの人生の中でたまたま幾つかの偶然が重なり、幸運にもこの情報の一部を解読し得たように思いますので、その内容をできるだけたくさんの方にお伝えし理解していただきたく、本書を上梓しました。 タイトルを『秘教から科学へ』としたのは、次の二つの理由からです。 ・秘教(の学徒)から、科学(者・信奉者) へ ・(二〇世紀までの)秘教が、(二一世紀には)科学へ (と転換する) 本書がすべての人々にお読みいただけるように、著者として最大限の工夫をしてきたつもりです。多少難解なところはあるかと思いますが、少し努力していただければ、かなりの人についてきていただける内容に仕上げられたと、確信しております。 しかし中でもとりわけ多くの科学者の方々に、是非とも読んでいただきたいと思います。それは今の社会では、やはり科学が権力と結びついているからであり、その方々が秘教に対する見方を変えることが、社会を変える大きな力になると思うからです。 ではどのように見方を変えるかというと、「今まで胡散臭い、いかがわしい、非科学的だと思っていた”秘教”が、実は”科学”の柱となるものだったのだ」というように、です。これは、今まで起きたどんなパラダイム・チェンジよりも激しい”大転換” といえます。 荒唐無稽な話に聞こえるかもしれませんが、実は最先端の研学者たちはずっと以前からそのことに気づいていたのです。例えば、”二〇世紀最高の天才”との誉れ高きアインシュタインは、ブラヴアツキー夫人の主要著書『シークレット・ドクトリン(秘教)』を愛読し、またあるところで、「宇宙的な宗教観は、科学的探究の最も強くて優れた誘因になると、私は確信している」と述べたと伝えられています(「光の手」一三頁、B・A・プレナン著、河出書房新杜)。 彼にとって秘教を学ぶことは、秘められた大きな歓びではなかったかと思います。 筆者にとっても、この数年間秘教を学ぶことは本当に大きな歓びと感動を与えてくれました。そしてその結果自分なりに見えてきた宇宙の仕組みを、”進化”と”エネルギー・システム”という観点から整理したのが、本書です。 一応の成果が得られたとは存じますが、この深遠なる領域を完堅に解説するなどということは、とても筆者如き未熟者にできる仕事ではなく、秘教本来の持つ素晴らしさを、歪めてお伝えしているという危慎もないわけではありません。 本書が本格的な秘教研究の端緒を拓く一つのきっかけとなれば、著者としてこのうえない歓びです。
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